コラム何らかの職業に就いている社会人の1日の勉強時間は6分…。

何らかの職業に就いている社会人の1日の勉強時間は6分…。

自立的なキャリア形成と学びの時間について。

2021年10月、国が統計法に基づき、国民の生活を実態を明らかにするため5年毎に実施している『社会生活基本調査』が行われようとしている。
『社会生活基本調査』は1976年の第1回調査から5年に一度実施されているため、前回調査は2016年の第9回調査がそれにあたる。

新卒者の就職相談をオンラインで行っていて、就活生が大きな悩みの一つが「ガクチ力」。すなわち、学生時代に力を入れた事柄は何か。
学生の本分は学業を修めるであることは揺るがない事実であるため、「ガクチ力」のトップに据えるべきは「学業」であるべきと思う。
自らが選択した学問領域に対して、どの程度修められたか、この点を重視し選考活動を進める企業は着実に広がりを見せている。
学生の本分である学業を修めた上で、更に「ガクチ力」を問われた際に、学業以外で力を入れたことを、志望する企業風土と関わらしめて主張することが、就職活動における「テクニック」の一つと考えられる。

2016年に行われた『社会生活基本調査』において、自律・自立した生き方を選ぶ上で、注目すべき結果が示されている。
Q19「学習・自己啓発・訓練について」。
仕事・学業として行うものを除き知識・教養を高めるため、仕事に役立てる(技術・資格取得を含む)ことをなどを目的とした学習・自己啓発について尋ねたところ、
15歳以上で何らかの職業に就き、1週間の内1日でも学習・自己啓発を行った国民は38.5%であった。
ちなみに、主な学習・自己啓発の内容としては、外国語12.2%、商業実務・ビジネス関係19.9%、家政・家事10.1%、芸術・文化10.6%となっている。

会社や学校からの指示ではなく、自ら何らかの学びを行っている国民は4割弱。
6割の社会人は、自ら進んでは学びを行っていないことが明らかになっている。

では、何らかの職業に就き、1日当たりどの程度学習・自己啓発の時間としているかを見てみると、6分という結果であった。

職業に就いている社会人の6割は自ら学んでおらず、
職業に就いている社会人の学びの時間を平均すると6分、
これが2016年に国が実施した調査が明らかにした国民生活の事実である。

今年の秋に行われる同様の調査において、5年間で国民生活がどのように変わったのか、とても気になるところ。
グローバル経済、社会は大きく変化し続けている。
グローバル経済の中の日本企業も変革を余儀なくされている。
一企業に就職し、個人はキャリア形成の全てを委ねる、企業は個人のキャリア形成に責任を持つ、
このような「理想的なモデル」は個人、企業双方にとって、理想ではなくなりつつある。

企業と個人との「働くこと」を通じた関係性は、変わらざるを得ない。
個人としてはますます自律・自立が求められるが、一方で、自立した生き方、働き方は人生を豊かなものにする可能性を大きく秘めていることも確かである。
自ら人生意義、働く意義を獲得するためにも、まずは個人が自立することが必要ではないかと5年前の調査から痛感した。

【引用・参考文献】
・「平成28年社会生活基本調査」総務省統計局(2016年)

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