新卒就活生のためのオンライン就職相談は、半世紀以上の歴史を有する大学生の「新卒一括採用」「新卒一斉就職」の課題の一つである、学生の就職活動中に経験する孤立と孤独、悩みを共有し、和らげ、短距離走ともいえる就職活動期間を自立的に歩んでいくためのサポートを行っている。
「新卒一括採用」「新卒一斉就職」により、大学生は3月に卒業し、4月からはフルタイム正社員としてのキャリアを歩む。
これまで模範的とされてきたキャリアモデルでは、大学卒業後、フルタイム正社員として入社し、会社から提示される業務を経験しつつ、会社から提示された教育プログラムに則り、総合職として会社の幅広い業務を遂行できる能力を得て、管理職となり、定められた定年到達時に会社を去る。
一つの会社内において、個人が望む業務を選択できる人事制度は多くの企業で取り入れられているものの、一つの会社内でのキャリア形成という限界がある。
これまで多くの研究者が指摘してきた通り、一企業内での限定されたキャリア形成ゆえに、会社間での横断的に求められるスキル・技能の習得を難しくさせ、結果的に、新卒で入社した会社に長期雇用、長期勤続することなる。
従業員個人の自立的なキャリア形成の視点からすると、自ら経験すべき仕事を選び、自ら持てる能力・スキルを発揮する働き場を選べることが、これまで模範的とされてきた「定年まで勤め上げる」価値観に変わる、新しいモデルではないだろうか。
自らキャリアを選ぶ、そのため自ら経験すべき仕事を選ぶ。
その一つの潮流が、フルタイム正社員でありながら「兼業・副業」を行うだろう。
2021年2月、(株)リクルートキャリアがリリースした「兼業・副業に関する動向調査(2020)」によれば、
2020年12月時点で兼業・副業を行っているフルタイム正社員は9.8%と、約1割が既に「第2の名刺」「第2の職場」を持っていることが分かる。
さらに年代別に見てみると、25~29歳が兼業・副業を既に行っているもしくは過去に経験に再開予定である割合が最も高く21.0%と、若い世代において約2割が1社に限定されたキャリア形成ではなくなっている現状が分かる。
また、現在は兼業・副業を行った経験はないが、これから兼業・副業を行ってみたいと最も多く考えている世代は、30~34歳であり実に50.3%が希望している。
これから兼業・副業を行ってみたいと考えている現在正社員は、全体でも41.8%と4割を超えており、多くの働く人が、自身が所属する会社以外での経験を欲していることが明らかにされた。
さらに、兼業・副業を行った、また行ってみたいと考える、きっかけを尋ねたところ、「自分のキャリアを見つめ直した」の回答が多く全体の2割を占めた。
「転職・独立を考えていた」も上位の理由にあげられている。
大学の卒業年次に、短距離走で定めた会社、仕事、キャリアを、入社後も見つめ直することは、自立的な生き方に繋がると思う。
個人が自らのあらゆる可能性を模索し、納得できるキャリア、人生を歩める社会、労働環境が整備されることを期待する。
【引用・参考文献】
・「兼業・副業に関する動向調査(2020)」株式会社リクルートキャリア(2021年)
―新卒就活生のためのオンライン就職相談 メッセンジャー・チャットアプリ