新卒者の就職・採用活動のスケジュールは、国公私立の大学等で構成している「就職問題懇談会」が申し合わせて、就職・採用活動の広報開始時期(会社説明会の開始時期)は3月1日以降、採用選考開始は6月1日以降、正式な内定は10月1日と「申し合わせ」がなされており、もうすぐ正式な内定を学生、企業ともに共有化するプロセスの一つ「内定式」が全国で一斉に執り行われる。
株式会社リクルート「就職みらい研究所」の調べによると、2021年9月1日時点の内定率は90.0%。2020年卒の9月1日時点の内定率は93.7%、「内定式」が執り行われる10月1日の内定率は93.8%であったことから、2022年卒の内定率の推移も微増であることが予想される。2022年卒の内定率も高水準で推移している。
2015年卒の求人倍率1.61倍から現在の2022年卒(求人倍率1.50倍)に至るまで、学生側の「売り手市場」が続いていると言える(リクルートワークス研究所の調べによる)。
学生側の「売り手市場」を反映して、10月1日の内定式を1ヵ月前にあたる9月1日時点、2022年卒者の内定取得企業数は1社が37.5%、2社以上が62.5%と、6割以上の就職就活生が複数の企業が内定を得ている。
複数企業から内定を得ている新卒者の割合はここ数年変わっておらず、2021年卒では2社以上から内定を取得した割合は59.6%、2020年卒では61.9%となっている。
複数企業から内定を取得していれば、何れかのタイミングで就職先を1社に絞らねばならない時期が来て、内定を辞退することになる。調査結果においても内定辞退をしなかった2022年卒者は38.2%、内定辞退を1社は29.6%、2社は15.7%、3社は8.4%、4社は4.6%、5社は1.3、6社以上は2.2%となった。
新卒者としてはたとえ1社から内定を取得しても、自身が「納得いくまで」就職活動を続けたい気持ちは十分理解できる。そのための「自己分析」でもある。
一方で、企業側としては、新卒者からの一定程度の内定辞退を想定して、採用予定人数を100とした場合、内定を出した人数は156.6に上る。
企業としては、新卒者から「選ばれる」工夫が必要となる。
マクロ的に見れば、就職氷河期の新卒者が必死で企業から「選ばれる」努力を行った時代から、学生と企業とのポジションが入れ替わったように見える。
【引用・参考文献】
・「就職プロセス調査(2022年卒)『2021年9月1日時点 内定状況』」就職みらい研究所(2021)
・「第38回ワークス大卒求人倍率調査(2022年卒)」リクルートワークス研究所(2021)
・「就職白書2021」就職みらい研究所(2021)
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