コラム仕事や生活に「満足」している中高年層の特徴。充実する働き方への示唆。

仕事や生活に「満足」している中高年層の特徴。充実する働き方への示唆。

仕事や生活に「満足」している中高年層は、自ら「キャリア」を切り拓こうと行動している人。

2022年卒の新卒者就職・採用活動も終盤になろうとしている。新型感染症が新卒者就職・採用に及ぼす影響も不安視されたものの、2021年10月1日時点の就職内定率は92.4%と高水準を維持した。
2015年3月卒求人倍率1.61倍から続く求職者側(新卒者側)の「売り手市場」は、62.5%の新卒者が複数社から内定を獲得する状況を生み出した。複数の企業から内定を得た新卒者は、必然的に内定を得ている企業の中から社会人をスタートさせる就職先を1社決めることになる。株式会社リクルートキャリアの就職みらい研究所の調査によれば、「就職先を確定する際に決め手となった項目(2020年卒学生上位10項目)」は「自らの成長が期待できる」56.1%であった。
公益財団法人日本生産性本部の「新入社員働くことの意識調査」においては、入社した会社を選ぶ際に最も重視したポイントに「自分の能力、個性が生かせるから」があげられている。

近年の新卒者が就職先に求めることは「自らが成長が期待できる」や「自分の能力、個性が生かせる」こと、言い換えれば主体的なキャリア形成が叶えられること、と言えるのではないだろうか。
近年の若年者にとって「自らが成長できる」ことや「自分の能力、個性が生かせる」ことが、仕事に求めること、ひいては人生の中における職業の充実に繋がると考えているのではないだろうか。

それではここで、職業人生すなわちキャリアの中盤から後半にいる40代後半から60代前半の社会人の中で、仕事や生活に「満足」している人の特徴を見てみたい。仕事や生活に「満足」している中高年層の特徴を見ることで、新卒者が初職に期待している「自らが成長できる」ことや「自分の能力、個性が生かせる」こととの関連性を考えてみたい。

株式会社リクルートHR研究機構の「40代後半~60代前半の働く価値観調査」によれば、
「生活全般」について「満足度」が高い人の特徴は、「将来のキャリアのために行動を起こしている」人(84.7%が満足)と「具体的なキャリアプランが描けている」人(85.0%が満足)であった。

さらに、「勤め先」について「満足度」が高かったのは、「具体的なキャリアプランが描けている」人(83.4%が満足)であった。
「仕事内容」についても「具体的なキャリアプランが描けている」人(83.8%が満足)と「将来のキャリアのために行動を起こしている」人(81.5%が満足)の満足度が高い。
「ワークライフバランス」についても「具体的なキャリアプランが描けている」人(80.0%が満足)と「将来のキャリアのために行動を起こしている」人(79.7%が満足)の満足度が高いことが分かった。

一方で「勤め先」、「仕事内容」、「ワークライフバランス」、「生活全般」について満足度が低かったのは、「自分に自信が持てず将来も不安」な人であった。

この調査から、キャリアの中盤から後半にいる40代後半から60代前半の社会人の中で、仕事や生活に高い「満足度」を有している人は「具体的なキャリアプラン」を描き、「将来のキャリアのために行動を起こしている」といった特徴が見えてくる。
職業人生の中で、仕事や生活に満足を与える大きな要因は、主体的にキャリアを展望することや望むキャリア形成のために具体的に行動すること、であると言えよう。

新卒者が就職先に求めることを改めて見てみると、「自らが成長が期待できる」や「自分の能力、個性が生かせる」ことであった。
「自らが成長が期待できる」や「自分の能力、個性が生かせる」ことは、中高年層の仕事や生活に満足を与える多いな要因である「具体的なキャリアプラン」を描き、「将来のキャリアのために行動を起こしている」ことと、単語は違えど近接する意味を表現しているのではないだろうか。

「自らが成長」するためには、具体的なキャリアプランを描くことが、適切な手段となりうる。
自分の能力や個性を生かすためにも、具体的なキャリアプランに則して行動することが、より能力を発揮するための有効な手段となりうる。

多くの新卒者が会社選びの際に決め手としている「自らが成長が期待できる」や「自分の能力、個性が生かせる」ことは、現在の中高年層の社会人にとってても、仕事や生活に満足を与える源泉となっている。
主体的に働くこと、生きることは、若年者から高齢者まで変わることなく、充実や満足を得るために不可欠なものと考えられる。

【引用・参考文献】
・「就職プロセス調査(2022年卒)『2021年10月1日時点 内定状況』」就職みらい研究所(2021)
・「就職プロセス調査(2020年卒)【確定版】『2020年3月度(卒業時点)内定状況』」就職みらい研究所(2021)
・「平成31年度新入社員『働くことの意識』調査結果」公益財団法人日本生産性本部(2019)
・「40代後半~60代前半の働く価値観調査」株式会社リクルートHR研究機構(2021)

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