大学から社会へ、新卒者はどのような理由で社会人第一歩目を歩みだす会社を選んでいるのだろうか。
公益財団法人日本生産性本部では、1969年から「新入社員働くことの意識調査」を実施しており、その調査結果から見てみよう。
1971年調査における新入社員が「会社を選ぶとき、あなたはどういう要因をもっとも重視」した項目は、「会社の将来性」が最も高く27%であり、次いで「自分の能力、個性が生かせるから」19%といった結果であった。
1971年調査時点で、会社選びで最も重視されていた「会社の将来性」ではあったが、1974年調査において「自分の能力、個性が生かせるから」が最も高い選択理由にあげられて以来、2019年調査までトップを守り続けている。
さらに象徴的なのが、「会社の将来性」を会社選びの重視項目にあげる新入社員は、漸次減少を続け、2001年調査では選択肢の中で最も選ばれない事項となった。2019年調査でも最下位となっている。
一方、会社の将来性は最重要事項ではなくなって久しいが、これをもって、現在の新入社員は「会社に頼らず、自立した働き方志向」になっていると言えるだろうか。
筆者が気になったのは、会社選びの重視項目の中で「技術が覚えられる」からが13.1%に止まっていること。
自立したキャリア形成を行うという点から重要になってくることが、個人が習得した技術・技能であると考えるが、会社選ぶの際には技術・技能の点があまり重視されていない傾向が見て取れることから、長期的な自立的キャリア形成について学ぶ機会が求められるのではないかと危惧している。
低技能、断片的・限定的熟練をキャリアで重ねるのではなく、高技能、職業的熟練を積みキャリアアップしていくことが、個人にも、わが国全体にとっても求められているのではないか。
【引用・参考文献】
・「平成31年度新入社員『働くことの意識』調査結果」公益財団法人日本生産性本部(2019年)
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