国(内閣府が主管)では、日本と諸外国の若者の意識を比較することにより、日本の若者の意識の特徴を把握するため「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を行っている。
2019年6月公表「令和元年度版 子供・若者白書」において特集として執筆された、諸外国の若者と比較した結果明らかとされた日本の若者の特徴から、私たちが理念として掲げている「自立した人生をいかにおくるか」の視点に基づき、できることを考えたい。
「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」は、2018年11月および12月に日本を含めた7か国の満13歳から満29歳までの男女を対象にインターネットを用いて調査したもの。
調査対象国は日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの7か国。
「自立した人生をいかにおくるか」の視点から、着目した調査結果を記す。
〇「自分自身に満足している」→「そう思う」10.4%、7か国中最も低い割合。
日本に次ぎ「そう思う」の割合が低いスウェーデンが30.8%であったことから、日本は調査対象国7か国の中において突出して、「自分自身に満足」している若者が低いことが分かる。
〇「自分には長所がある」→「そう思う」16.3%、7か国中最も低い割合。
日本に次ぎ「そう思う」の割合が低いスウェーデンが28.8%であった。
〇「他人に迷惑をかけなければ、何をしようと個人の自由だ」→「そう思う」15.7%、7か国中最も低い割合。
日本に次ぎ「そう思う」の割合が低い韓国が38.6%、ドイツが39.8%であったことから、この意識についても日本が突出して厳格に規範として有していることが分かる。
〇「社会をよりよくするため、私は社会における問題の解決に関与したい」→「そう思う」10.8%、7か国中最も低い割合。
日本に次ぎ「そう思う」の割合が低いスウェーデンが26.0%であった。
〇「自国の社会に満足しているか」→「満足」5.3%、7か国中最も低い割合。
日本に次ぎ「満足」の割合が低い韓国で6.3%、フランスが14.2%、ドイツが18.5%であったことから、日本の若者だけが極端に自国の社会に満足していない訳ではないことが分かる。
一方で、自国の社会に満足している若者が最も多いのはアメリカで27.8%が「そう思う」を選択している。
〇「自国の社会の問題」について
1)「身分や家柄が重要視されすぎている」→16.0%、7か国中最も低い割合。
最も「身分や家柄が重要視されすぎている」と回答したのは韓国で41.2%。
ここからは日本の若者は「身分や家柄」が社会生活を送る上で、重視され過ぎているとは捉えていないことが分かる。
2)「倫理的、道徳的に正しいことが受け入れられない」→14.1%、7か国中5番目に低い割合。
最も「倫理的、道徳的に正しいことが受け入れられない」と回答したのは韓国で29.5%、次いでアメリカで25.2%
日本の若者は「倫理的、道徳的に正しいことが受け入れられない」とはあまり考えていないことが分かる。
3)「まじめな者がむくわれない」→39.8%、7か国中2番目に高い割合。
最も「まじめな者がむくわれない」と回答したのは韓国で46.4%。
一方最も低い割合だったのがイギリスにおいても25.2%であったことを考えると、調査対象7か国の若者の多くが、自国は「まじめな者がむくわれない」社会であると捉えていることが分かる。
〇「今の職場に満足しているか」→「満足」10.0%、7か国中最も低い割合。
日本に次ぎ満足の割合が低かったのは韓国で17.6%、フランス30.9%であったことから、日本の若者が突出して「今の職場に満足していない」ことが分かる。
一方最も満足している割合が高いのがアメリカで51.5%と半数以上が、今の職場に満足していることになる。
〇「職業選択の重視点」について
1)「収入」→70.7%、7か国中最も高い割合。
2)「仕事内容」→63.1%、7か国中最も高い割合。
以上のような、自立した人生をいかにおくるかの視点で抜粋した調査結果から、社会秩序としては民主的、平等感が保たれていると捉えられている一方、個人としては満足感、幸福感が得難い現状であることが見えてくる。
特に、「今の職場に満足している」若者が1割という結果は、深刻に受け止めざるを得ない。
戦後から1990年頃まで、日本企業の高いパフォーマンスの源泉と考えられてきた「新卒一括採用」、「年功序列」、「終身雇用」、「家族的経営」等々について、2021年現在の産業、経済、社会情勢、社会規範に適したヴィジョンの再提示が求められているのではないか。
「今の職場に満足していない」若者が、満足できる生活を送るにはどうすべきか。
「今の職場に満足していない」若者が、満足できる選択をするためにはどうすべきか。
新卒就活生のためのオンライン就職相談では、新卒者とこの問題について語り合っていく。
【引用・参考文献】
・「令和元年版子供・若者白書 特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」内閣府(2019年)
―新卒就活生のためのオンライン就職相談 メッセンジャー・チャットアプリ