コラム「社会人基礎力」と「新・社会人基礎力」

「社会人基礎力」と「新・社会人基礎力」

社会人に求められる能力

学校から社会への移行、わが国においては、3月に学校を卒業した新卒者を4月1日に一斉に雇用する「新卒者一括採用」の慣行が根強い。
この雇用慣行により、わが国においては、卒業年次に到達する以前からインターンシップや会社説明会等への参加が始まり、大学生であれば4年次になった頃には「内々定」という形の雇用契約が結ばれ始め、卒業する3月までに「内定」を得ようと会社説明会への参加、書類審査、筆記試験、複数回の面接試験を繰り返す。

会社や団体に職を求める大学生は、既に制度化、ルール化されている選考プロセスを経て、社会に移行する。
社会=会社に所属した後も、社会人として求められる素養とスキルを習得しながら、会社や組織から求められる業務を遂行していくことが一般的とされる。

では、一般的に会社や組織から求められる業務を遂行する上で求められる資質やスキルとはどのようなものだろうか。
2006年に経済産業省が提唱し、高等教育界でキャリア教育の指針とされることも多かった「社会人基礎力」から見てみよう。

経済産業省が提唱した「社会人基礎力」は、社会人=会社に所属する従業員に求められる3つの要素、12の能力をあげています。
社会人に求められる3つの要素は、
①「前に踏み出す力(アクション)」
②「考え抜く力(シンキング)」
③「チームで働く力(チームワーク)」です。

さらに、3つの要素に引き続く、12の能力では、
①「前に踏み出す力(アクション)」
1)主体性
2)働きかけ力
3)実行力
②「考え抜く力(シンキング)」
4)課題発見力
5)創造力
6)計画力
③「チームで働く力(チームワーク)」
7)発信力
8)傾聴力
9)柔軟性
10)情況把握力
11)規律性
12)ストレスコントロール力

2018年、経済産業省では2006年「社会人基礎力」を再定義し、「人生100年時代の社会人基礎力」を提唱しました。
再定義された「新・社会人基礎力」では、「これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力と定義され、社会人基礎力の3つの能力/12の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、目的、学び、組合せのバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていく上で必要と位置付けられる」とし、さらに「『キャリアオーナーシップ』を持つ個人は、主体性を向上させ、自らの「持ち札」を増やすことでキャリアを切りひらいていく。一方で、企業や組織は、効果的な人材確保を通じて多様な人材が活躍する場を提供するプラットフォームとなることではじめて成長し続けることが可能になる」と個人の主体性の重要性を明記しました。

そして、主体的にキャリア形成を行う個人と、企業・組織を繋げるために、3つの視点を加えました。
その3つの視点は、
①何を学ぶか【学び】
②どのように学ぶか【組合せ】
③どう活躍するか【目的】です。

新卒就活生のためのオンライン就職相談では、③どう活躍するか【目的】が最も困難で、明確化が難しいと考えます。
人生の意義、働く意味を伴う「どう活躍するか【目的】」という難題について、メッセンジャー・チャットアプリを通じて、カウンセラーが対話しながら、一緒に解き明かしていくことが私たちのミッションと考えています。

【引用・参考文献】
・「我が国産業における人材力強化に向けた研究会―報告書」経済産業省(2018年)

―新卒就活生のためのオンライン就職相談 メッセンジャー・チャットアプリ

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