2020年度の「学校基本調査」によれば、大学学部生の人数が2,623,572人と過去最多の人数となった。同年度の18歳人口が116万7,348人であり、内533,140人が大学(学部)に進学、進学率は54.4%となり、過去最高の進学率となった。
18歳人口は減少し続けている一方で、過去最高となった大学生の人数および進学率ではあるが、過去20年間でどの分野の学生数が増え、また減少したのか。将来のわが国を支える人財が大学でどのような分野、専門領域を学んでいるかを見てみよう。
今から20年前、2000年度の「学校基本調査」によれば、同年度の大学学部生の人数は2,471,755人であり、2020年度は2,623,572人であったことから、わが国では20年間で151,817人大学生が増加していることになる。
2000年度から学生数が増加している学部は、「保健」であり2000年度143,637人から2020年度339,048人と約6割学生数が増加している。「保健」の中でも学生数が増加しているのは「その他」に分類される領域であり、その領域には、栄養学、衛生学、臨床心理学、スポーツ医療学といったものが含まれる。QOLを高める専門知識を学ぶ「保健」分野の学生が20年間で増加したことが分かる。
一方で学生数が減少した学部は「工学」であり、2000年度467,162人から2020年度382,341人と20年間で約2割減少している。「工学」の中でも、電気通信工学、知能情報システム、コンピュータ科学、ソフトウェア開発工学、ネットワークデザイン学等が含まれる「電気通信工学関係」の学生が2000年度149,620人であったものが2020年度106,412人と約4割減少している。
現在、時代の変革を表す言葉として「DX(Digital Transformation)」があげられる。日本経済団体連合会の定義では、DX=デジタルトランスフォーメーションは、「デジタル技術を用いた単純な改善・省人化・自動化・効率化・最適化にはとどまらない。社会の根本的な変化に対して、時に既成概念の破壊を伴いながら新たな価値を創出するための改革がDX。デジタル技術とデータの活用が進むことによって、社会・産業・生活のあり方が根本から革命的に変わること。また、その革新に向けて産業・組織・個人が大転換を図ること」とされる。デジタル技術とデータの活用を進め、産業・組織・個人が大転換を図ることが今、正に進行しているといえる。
単純な学生数の上では、変革を担うデジタル技術を学ぶ工学系の学生はこの20年間で大きく減少している。
【引用・参考文献】
・「学校基本調査—令和2年度 結果の概要—」文部科学省(2020)
・「学校基本調査—平成12年度結果の概要」文部科学省(2000)
・「Digital Transformation (DX)~価値の協創で未来をひらく~」一般社団法人日本経済団体連合会(2020)
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