主体的に生き方、働き方を決める。
労働力が商品として取引される資本主義社会において、自分の中の労働力を売る、売らない、を自ら決められるということは、幸せな生き方と言える。
主体的に生き方、働き方を決める、最も近道は自らが起業し、経営者となること。
しかしながら、起業し経営者となれたとしても厳しい競争社会を皆が勝ち抜けるとは限らず、やはり個人にとってリスクは残る選択と言えよう。
起業し自らが経営者となるよりも、身近な主体的なキャリア形成の一つとして、転職がある。
自らが望む経営組織で、望む職業に就く、立派な主体的なキャリア形成の一形態と言えよう。
では、自らが転職の時期、転職先での職務、転職先での処遇を「交渉」するためには、どのようなことが求められるのか。
独立行政法人労働政策研究・研修機構『企業の多様な採用に関する調査』(2018)から見てみよう。
まずは転職市場から。
調査によれば、キャリア採用(中途採用)を行っている企業は85.9%。
ほとんどの企業でキャリア採用を行っていることが分かり、個人が選択し、企業が受け入れれば多くの場合転職は成立する環境にはある。
では、どのような場合に企業はキャリア採用、中途採用者を受け入れるのか。
最も多い理由は「専門分野の高度な知識やスキルを持つ人が欲しいから」が46.3%と約半数。
一方、職業経験を積み得られるスキルの一つである「高度なマネジメント能力、豊富なマネジメント経営がある人が欲しいから」という理由は16.5%と決して多くない理由に留まった。
さらに「専門分野の高度な知識やスキルを持つ人が欲しいから」という理由でキャリア採用を行っている企業の中身を見てみると、「情報通信業」(71.1%)、「学術研究、専門・技術サービス業」(67.9)、「医療、福祉」(61.4%)が高い割合となっている。
一方、「高度とか専門とかではなくてよいので仕事経験が豊富な人が欲しいから」という純粋に経験を欲している企業としては、「生活関連サービス、娯楽業」(42.6%)、「運輸業、郵便業」(32.5%)が挙げられる。
ここから、転職市場において転職先との「交渉力」を高く保つためには、「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」「医療、福祉」の分野において、高度な知識やスキルを持つことが近道ということが写し出される。
2016年『社会生活基本調査』を振り返ってみると、
職業に就いている社会人の6割は自ら学んでおらず、
職業に就いている社会人の学びの時間を平均すると6分、という結果。
主体的なキャリア形成には、やはり専門性を身に着けることが近道ではあるが、統計的には専門性を身に着けるための自己啓発を行っている割合と時間が少々足りていないように思われる。
主体性を伸ばす、このことも新卒就活生のためのオンライン就職相談では活動の範疇としている。
【引用・参考文献】
・「企業の多様な採用に関する調査」独立行政法人労働政策研究・研修機構(2018)
・「平成28年社会生活基本調査」総務省統計局(2016年)
―新卒就活生のためのオンライン就職相談 メッセンジャー・チャットアプリ