新卒就活生のためのオンライン就職相談に関わるカウンセラーは、就職氷河期世代に就職活動を実際に経験しながらも、正社員として企業等に入社し、人事や採用担当者か、その経験者に限られる。
2021年6月、統計上は、企業等の採用意欲がコロナ禍においても衰えず、求人倍率は依然高次を保っている。
新卒者は「就職氷河期」に比べれば、「内定」は得やすい環境であるいえる。
ただ大学のキャリア支援センターの声を聞くと「内定を得てもなお、漠然とした不安のためか、就職活動を続ける学生が多くいる」。
わが国の新卒者一括採用、一律の教育制度、処遇制度においては、新卒者としてどの企業に就職するか、とても重要な決断であるため、迷いが生じることは当然のことといえよう。
学生の声にも耳を傾てみると「内定は得たが、本当にこの企業で良いのか…、正直迷っている。この企業で頑張りたい、と思える情報が少ないのではないかと感じる。労働条件、特に休日や残業時間は希望と合っているが、面接で話した『こんな仕事をしたいと思っています』のエピソードは、自分で語っていながら、『働くこと』への印象は正直薄い」。
昨今の学生の傾向として、休日や労働時間といった勤務条件に求める水準は上がっている一方、「働くこと」への関心は相対的に下がっているように思われる。
これは学生の意識変化だけが要因なのだろうか。
採用担当者のゲンバにおいて「夢を語り難くなった」と聞くようになった。
大前提として法律で定められた労働時間、休日の中で、パフォーマンスを上げていくことが求められるのが企業ではあるが、法律内だとしても、あまり熱くヴィジョンを語り過ぎることで、「本当はこの企業は残時間が多いのではないか。休日も仕事をしているのではないか」と“裏読み”されてしまうのだという。
結果、あまり熱くヴィジョンや展望、仕事そのものの楽しさなどを語らず、ワークライフバンス、ライフイベントへの支援、残業時間の少なさ、休日の多さ、などに説明の時間を使うようになる。
採用担当者も今の新卒者のマインド=希望に合わせて、自社で働くメリットを説明しているのである。
ぜひ学生には、勤務条件はとても重要なことではあるが、仕事のそのものの楽しさ、会社のヴィジョンについても、採用担当者に説いて欲しいと思う。
「自分は本当のこの会社を選んで良いのだろうか」と不安を払拭させる一つは、その会社のヴィジョンであったり、そのヴィジョンに共感する自分であったりする。
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