新卒就活生のためのオンライン就職相談では、学校から社会への移行=新卒者の就職活動時に、少なからず孤独と孤立の中で就職活動を行う学生を、匿名でメッセンジャー・チャットアプリを用いて、就職相談=カウンセリングを施し、安定した環境下初職に導くことを目的に運営している。
この活動は「就職氷河期世代」が実際に経験した厳しい就職活動から生まれている。
現在、オンライン就職相談に携わるカウンセラーは「就職氷河期世代」であり、現役社会人で有資格者の40代が中心。
1社からの内定を巡り、多くの選考プロセスを経て、ようやく社会人になった世代でもある。
ここでは、「就職氷河期」世代と現在の若者との転職に関する考え方の変化について、独立行政法人労働政策研究・研究機構「データブック国際労働比較2019」より見てみたい。
「つらくても転職せず一生一つの職場で働き続けるべき」、2003年10.3%から2018年は4.4%に半減している。
「職場に不満があれば転職する方がよい」、2003年17.9%から2018年は22.8%に増加している。
「できるだけ転職せずに同じ職場で働きたい」2013年31.5%から2018年は23.6%に減少している。
これらの転職に関する意識変化の結果は、概ね現在の世相、「空気感」と一致している。
「新卒で入社した会社に生涯勤め上げる」という規範は年々希薄化する一方、新卒で就職した会社以外に活躍の場を求める傾向が強まっている。
この調査の中で、「就職氷河期」を背景とした回答結果が、
「自分の才能を生かすため積極的に転職する方がよい」であり、2003年14.2%から2018年10.1%に減少している。
他の転職に関する意識については、2003年から2018年に掛けて増加傾向を示しているが、この質問に関しては減少している。
ここには、求職者数が求人数を超えるような厳しい雇用環境の中で、自らが希望する職種や会社へ就けなかった新卒者が多かったことに起因するものと考えられる。
新卒者として入社した会社において、希望する仕事や職種に就けず、いつか「自分の才能を生かす」会社に転職したいと思うのは、当然ではないだろうか。
この調査結果から、新卒者が初職として入社する会社への帰属意識は希薄化し続けており、タイミングがあれば転職したいと考えている若者は増加している。
ここから、転職を含む自立したキャリア形成、エンプロイアビリティを高める能力形成をどのように行っていくべきかの課題が見出しうる。
ただ「転職したい」という気持ちだけでは、キャリアアップする転職に繋がらないことも注意が必要であろう。
【引用・参考文献】
・「データブック国際労働比較2019」独立行政法人労働政策研究・研修機構(2020)
―新卒就活生のためのオンライン就職相談 メッセンジャー・チャットアプリ