株式会社リクルートの研究機関、就職みらい研究所の発表によると、2022年4月入社予定者の2021年8月1日時点の内定率は85.3%と、新型感染症の影響が無かった2020年3月卒の同時期内定率91.2%よりは5.9ポイント低いものの高水準であることが分かった。ちなみに、新型感染症の影響を大きく受けた2021年3月卒の同時期内定率は81.2%と、本年度に比べると4.1ポイント低い値であった。
この調査で私たちが注視している項目は、内定未取得者の「就職活動実施率」である。就職活動実施率とは、調査当月に就職活動を実施している者の値であり、内定未取得者が就職活動を継続しているかどうかを類推できる値でもある。
調査によると、8月1日時点で内定未取得者の就職活動実施率は92.1%であり、ほとんどの内定を得られていない新卒者が就職活動を継続していることが分かる。
新型感染症を影響を強く受けた2021年3月卒に関しては、例年とは異なる就職活動であったことから、「通常」と考えられる2020年3月卒調査から8月以降の内定未取得者の就職活動実施率を見てみると、1カ月後の9月1日時点では79.9%と約2割の内定を得られていない新卒者が就職活動を実施していない、就職活動を止めてしまっていることが分かる。そして、さらに1カ月後の10月1日時点では59.9%と大きく就職活動実施率が下がり、12月1日時点では36.6%と、内定未取得者の6割を超える新卒者が就職活動を実施していない状況となる。
内定未取得者が就職活動を実施しなくなる要因については、さらなる調査が必要となるが、一般論としては、長期間の就職活動は新卒者にとって精神的に非常に厳しいことであることは想像し易い。
例年と同様の傾向であるならば、内定未取得者にとってはこれからの2カ月が非常に大切な期間と言える。統計的には、9月、10月と時が経過するにつれて、内定を得られていない新卒者の中で就職活動を実施しなくなる者が増えていく傾向を示している。
8月1日時点で内定を得られていない新卒者には、丁寧なサポートが求められる。
【引用・参考文献】
・「就職プロセス調査(2022年卒)『2021年8月1日時点内定状況」就職みらい研究所(2021)
・「就職プロセス調査(2020年卒)【確定版】『2019年12月1日時点内定状況」就職みらい研究所(2019)
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