日本財団が2019年11月に公表した第20回「18歳意識調査」のテーマは「国や社会に対する意識」(9ヵ国調査)。
この「18歳意識調査」は2019年9月下旬から10月上旬に掛けて日本、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツの9ヵ国の17~19歳の男女、1,000人を対象として、国や社会に対する意識をインターネットを通じ調査したもの。
本調査に回答した17~19歳の中で大学に進学した若者は、あと数年で新卒者として就職活動時期を迎えることとなる。大学を卒業して何らかの組織に所属することだけが「社会に出る」という行為とは限らないものの、多く若者が「社会に出る」ことを、何らかの組織に所属し働くことと認識していることは概ね正しいと言えるだろう。
それゆえに、これから「社会に出る」若者の「(国や)社会に対する意識」は、若者を雇用する・受け入れる企業や組織にとって重要と言えよう。
本調査で明らかとされたのは、日本における18歳が調査対象9か国中、国や社会に対する意識が極端に低いことであった。
学校から社会への移行の点から着目すべき項目としては、
「将来の夢を持っている」日本が最も低く60.1%、次いで韓国が82.2%、残りの7ヵ国は全て90%を超えている。
「自分を大人だと思う」日本が最も低く29.1%、次いで韓国が49.1%、そしてベトナムが65.3%であり、残りの6か国は全て70%を超えている。
「自分で国や社会を変えられると思う」日本が最も低く18.3%、次いで韓国が39.6%、そしてドイツが45.9%であった。
「自分の国の将来について」、「悪くなる」と最も多く回答したのがイギリスで43.4%、次いで日本が37.9%であった。
「自分の国の将来について」、「悪くなる」と回答した割合が最も高かったイギリスではあるが、一方で「良くなる」と回答した割合は25.3と、日本の「良くなる」と回答した割合9.6%に比較すると15.7ポイント、「良くなる」と回答した割合が高かった。
「自分の国の将来について」、「良くなる」と回答した割合が最も低かったのは日本で9.6%、次に低かったドイツが21.1%であったことからも、日本の18歳が調査対象国で極端に自国の将来について悲観的に見ていることが分かる。
「どのようにして国の役にたちたいか」、「国の役には立ちたいとは思わない」と回答した割合が最も高ったのが日本で14.2%。
あと数年で本調査に回答した当時の18歳が就職活動を経て、社会に出てくる。
あと数年ではあるが、既に社会に出ている「大人」が少しでも将来に対して希望を抱いてはどうだろうか。
あと数年後に社会に出てきた当時の18歳に、「それほど社会も悪くはないかもしれない」と思わせることは本当に出来ないことだろうか。
一人ひとりの希望の光は小さくとも、小さな光が集まれば、周りの人々を少しは明るく出来ることもあるのではないだろうか。
【引用・参考文献】
・「18歳意識調査 第20回—社会や国に対する意識調査」日本財団(2019)
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