2011年3月11日、大地震の発生に引き続いて、非常に広範囲に及ぶ津波の襲来、原子力発電所の事故、大規模停電、断水、社会インフラの断絶…、東日本大震災は多くの国民に衝撃を与えた。
未曽有の災害は、人々の「生きること」への考え方をも変えてしまう程のインパクトがあった。
2011年9月~10月に掛けて社団法人全国高等学校PTA連合会ならびに株式会社リクルートが行った「高校生と保護者の進路に関する意識調査」では、高校生の東日本大震災の発生以前と発生以後で、進路や将来の考え方に変化が見られるかについて明らかにしている。
東日本大震災の発生以前、調査対象の高校生の中で進路や将来の考え方で最も多かった回答は「資格を取得したり、手に職をつけたい」で75%、次いで「社会に役立つ知識・技術を身につけたい」69%、「人の役に立つ仕事に就きたい」68%、「毎日を大切に生きていきたい」68%であった。
そして、東日本大震災の発生以後は、「毎日を大切に生きいきたい」が84%で最も多い回答となった。「やりたいこと」≒「職業観」についても、「人の役に立つ仕事に就きたい」が74%と、発生以前と比べて6ポイントの増加となった。「社会に役立つ知識・技術を身につけたい」も75%となり、発生以前と比べて5ポイントの増加となった。
東日本大震災という大災害を経験した高校生の中で、就職する際の「やりたいこと」の軸が「人の役に立つ仕事」に定めた若者は少なくないと言えよう。
社会を揺るがす程のインパクトの大きな出来事が、若者の「やりたいこと」の明確化に寄与することが示唆される。
新卒者の就職活動において「やりたいこと」の明確化で躓く学生は少なくない。
東日本大震災のような100年の1度の災害を不幸にも経験したことで、「人の役に立つ仕事」という「やりたいこと」の軸が明確化される場合もある。
願わくば、不幸な災害の経験ではなく、若者の主体的な行動の結果、「やりたいこと」の軸が深化されることを期待したい。
【引用・参考文献】
・「第5回 高校生と保護者の進路に関する意識調査結果報告」社団法人全国高等学校PTA連合会・株式会社リクルート(2012)
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