2019年12月、政府は「就職氷河期世代支援に関する行動計画2019」を策定、公表した。
この支援策の対象となるのは、政府見解によれば1993年から2004年までに新卒者として就職活動を行ったいわゆる「就職氷河期世代」であり、支援策が策定された2018年、就職氷河期世代とされる35~44歳は1,689万人、そのうち「正規雇用を希望していながら、現在は非正規雇用で働いている者」50万人、および「就業を希望しながら、様々な事情により求職活動をしていない長期無業者」「社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者」40万人とされている。
政府方針では、就職氷河期世代の正規雇用者を30万人増やすことを掲げている。
「正規雇用を希望していながら、現在は非正規雇用で働いている者」をさらに詳してみてみると、株式会社マイナビが発表した「就職氷河期世代の実情と就労意識」によれば、現在非正規社員として働いている方に正社員としての勤務意向を尋ねたところ、就職氷河期世代の39.7%が正社員として雇用されることを希望していることが分かった(「現在の勤務先で、正社員として勤務したい」8.0%、「現在とは別の勤務先で、正社員として勤務したい」14.7%、「漠然とだが、ゆくゆくは正社員として勤務したいと思っている」17.0%)。
また、就職氷河期世代の男性に限っては、半数以上の55.0%が正社員として勤務することを希望している(「現在の勤務先で、正社員として勤務したい」13.6%、「現在とは別の勤務先で、正社員として勤務したい」18.2%、「漠然とだが、ゆくゆくは正社員として勤務したいと思っている」23.2%。女性は36.8%が正社員として勤務することを望んでいる)。
さらに、就職氷河期世代で非正規社員として働いている方の転職意向を尋ねたところ、62.9%が転職を希望していることが分かった(「現段階で転職や就職したいと考えており活動も行っている」8.4%、「現段階で転職や就職をしたいと考えているが活動はしていない」21.7%、「いずれは転職したいと考えてい
る」32.8%)。
転職を希望する理由として最も回答率が高ったのは「給与に不満があるため」で29.8%であった。
就職氷河期世代は、学校から社会への移行の第一歩目となる新卒者として迎えた就職活動そのものが非常に過酷なものとなったが、その後のキャリアについても苦しい状況が続いていることが次の調査から分かる。
株式会社リクルートジョブズが行った「就職氷河期世代の働き方に関する実態と意識―個人調査と企業調査から―」では、就職氷河期世代(35歳~49歳)で正規社員もしくは非正規社員が直近1年間で転職した結果、正規社員として転職した割合は14%という結果となった。
就職氷河期を1993年から2004年と定義した場合、就職氷河期の起こりから20年が経過しようとしていることになる。
就職氷河期は、どんなに頑張っても「正規雇用を希望していながら、現在は非正規雇用で働いている者」や「就業を希望しながら、様々な事情により求職活動をしていない長期無業者」、「社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者」を生み出した。
現在は新卒者の「売り手市場」と言われている。
新卒者の「売り手市場」が続く限り、新卒者には望むキャリアのスタートを切って欲しいと切に願う。
不本意なキャリア形成を強いらせる世代は二度と生み出してはならないと心から思う。
【引用・参考文献】
・「就職氷河期世代支援に関する行動計画 2019」内閣官房(2019)
・「就職氷河期世代の実情と就労意識」株式会社マイナビ(2021)
・「就職氷河期世代の働き方に関する実態と意識―個人調査と企業調査から―」株式会社リクルートジョブズ(2020)
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