カウンセリングケースどんなに「自己分析」を行っても「やりたい仕事」が見つかりません…。「やりたい仕事」はどうやれば見つかるのでしょうか…。

どんなに「自己分析」を行っても「やりたい仕事」が見つかりません…。「やりたい仕事」はどうやれば見つかるのでしょうか…。


※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。


【C大学・生物学部所属・4年生】

どんなに「自己分析」を行っても、いつまでも「やりたい仕事」が見つかりません…。「やりたい仕事」はどうやれば見つかるのでしょうか…。大学で学んだことと、「やりたい仕事」がどうしても合致させることが出来ません。


【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。


「やりたいこと」探しは就活の一つの「課題」と割り切ることも大切に。

新卒就活生が就職活動において迷い、深く悩むことの一つに「やりたいこと探し」があげられます。
採用企業としては、応募者がどの程度、企業について情報収集する能力があるか、収集した情報を分析する能力があるか、内定辞退に備えて応募者がどの位の「順位」で自社を志望しているのか、などを推し量るための一般的な質問項目となっています。 

日本企業の代表的な雇用慣行の一つとして、長期勤続があげられます。
長期勤続を前提とした人事制度として、ジョブローテーションがあり、新卒者として雇用された従業員は、2~10年程度の職務経験を経て、異なる職務を経験するため人事異動(=ジョブローテーション)させるといった「総合職」としてのキャリアを積んでいきます。
新卒者をジョブローテーションを伴う「総合職」として採用し、企業を取り巻く環境変化、事業領域の再編にあわせて、従業員を異動させるため、必ずしも新卒者が就職活動の際に語った「やりたいこと」を入社後にさせてもらえない可能性があることも、また日本企業の特徴と言えます。 

ではなぜ企業の採用担当者が新卒者に「やりたいこと」を問うのでしょうか。
一つの理由としては、先に述べた通り、応募者の情報収集能力、情報分析能力、論理力に加えて、自社への志望順位を推し量るため、があげられます。
また一方で、根底にある理由としては、長期勤続、結果としての「終身雇用」に至ることが多い日本企業おいては、長期的なキャリア形成に対して、主体的に考え、自律的に行動できる人材であるかを見極めるための質問としても用いられています。 

「やりたいこと探し」に深く陥ってしまった新卒者に対しては、まずは「やりたいこと」をなぜ企業は質問するのかを理解頂きます。
新卒就活生に「やりたいこと」を問うのは、主に、
①情報収集・分析能力と志望順位を推し量るため、
②長期的なキャリア形成を主体的に行う意思があるかを推し量るため、
と考えられます。 

①情報収集・分析能力と志望動機を推し量るため、については、本当に「やりたいこと」がどうかはさておき、とにかく採用プロセスに臨む企業の情報を集めることが求められます。
情報を集めた上で「やりたいこと」ストーリーを考えることが必要となります。
ここで大事なことはストーリー=物語を創ることになります。
「やりたいこと探し」に陥ってしまった新卒者への対処法としては、「本心」もしくは「心からの」といったことを「一旦置いておく」ことが一歩踏み出すコツと思います。 

企業は新卒者という「労働力」を買う、ということが基本的な考え方となります。
できれば「心から」の「本心」からの「やりたいこと」が見つかることが理想ですが、日本企業の多くは未だジョブローテーションを伴う「総合職」であることを踏まえますと、「一旦置いておき」ストーリーを創る、という「課題」であると割り切って、前に踏む出す気持ちを作ることが大切だと思われます。

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