カウンセリングケース「自己分析」で明らかにした「やりたい仕事」から「第一志望」を定め、企業研究と志望動機などの面接対策もしっかりと行い、入社試験に臨みましたが、結果「不採用」となってしいました。

「自己分析」で明らかにした「やりたい仕事」から「第一志望」を定め、企業研究と志望動機などの面接対策もしっかりと行い、入社試験に臨みましたが、結果「不採用」となってしいました。


※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。


【D大学・経済学部系所属・4年生】

3年生の冬から取り組んだ「自己分析」の結果、子供の頃から憧れているテーマパークに就職し、「好きな場所」、「好きな仕事」に就きたいと思い、「企業研究」において就職を希望する企業の情報を集め、また「志望動機」も企業が「求める人材像」に沿うように何度も試行錯誤して取りまとめました。「自己分析」で明らかにした「やりたい仕事」、やりたい仕事に就職するための努力として、企業研究と志望動機などの面接試験対策をしっかりと行い、入社試験に臨みましたが、結果、不採用通知が届いてしまいました。

数カ月掛けて取り組んだ「自己分析」の末に辿り着いた「やりたい仕事」、そのやりたい仕事に就職する道が閉ざされてしまい、もう就職活動を行う気持ちが無くなってしまいました…。とはいえ、来年3月には大学を卒業してしまうので…、どうすれば良いか途方に暮れています。


【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。


「やりたいこと」をやれる企業は「一つ」ではない。
「やりたいこと」の根幹には何があるのかを見つけたい。

新卒就活生への就活ツールとしてオーソドックに用いられるようになった「自己分析」ですが、この「自己分析」には、新卒就活生を困惑させてしまう要素が含まれています。 

就職活動における悩みとしてご相談者があげられました、自己分析の末に辿り着いた「やりたい仕事」、その仕事を行えそうな志望企業からの不採用を告げられ、身動きが取れなくなってしまうケースは、これまで多くの新卒就活生が陥った「自己分析のワナ」と言えます。 

多くの「自己分析」手法の中には、新卒就活生のこれまでの人生や経歴を振り返り、その上で「やりたい仕事」を探すことを促すものが多く見られます。
このこれまでの人生を振り返った上で、記憶の中でも鮮明に残っている出来事や、印象深い経験から「やりたい仕事」を探すことで、新卒就活生が辿り着く「やりたい仕事」が、楽しかった思い出や趣味の世界から見出される傾向があります。 

ご相談者から寄せられた悩みにおいても、ご自身身が人生の中で最も楽しい記憶であったテーマパークへの就職を希望していたことからも、「やりたい仕事」探しが辿り着く先が、楽しかった思い出や趣味に偏ってしまう傾向があることについては、少し意識されると良いと思います。 

そして、数カ月掛けて一度定めた「やりたい仕事」、就職したい企業について、たとえ不採用という事結果となってしまったとしても、簡単に「では次の『やりたい仕事』を考えよう」と気持ちを切り替え難くなることも「自己分析」手法の傾向の一つと言えます。
それだけ新卒就活生は、自分の将来の働き方や就職先について真剣に考え、「自己分析」に取り組んでいる証でもあります。 

このご相談に対するアドバイスとしては、「自己分析」で明らかにした「やりたい仕事」、その仕事が出来そうなテーマパークを志望した理由を、もう少し「分解」して考えて頂くことにしました。
子供の頃家族で訪れたテーマパーク内での楽しかった記憶、非日常空間を演出するスタッフの輝いて見えた姿、このことが数十年の時を経た、人生の転機を迎えた現在でも「大事にしたい気持ち」の根幹にあることが「対話」の中で明らかになって来ました。 

さらに考えを進め、テーマパークの持つ楽しさは、来場者の「笑顔をつくる」ことだということ、では「笑顔をつくる」仕事はテーマパーク以外であれば、どのような企業が提供しているのかを考えて頂きました。
また、非日常空間を演出していたスタッフが輝いて見えたのは、来場者を「楽しませたい」という気持ちから接客をしていたから、ということが整理され、では顧客を「楽しませる」仕事はテーマパーク以外ではどのような企業が提供しているのでしょうか、といったことを踏まえて再度「自己分析」して頂きました。 

結果、テーマパークへの就職は叶いませんでしたが、「笑顔をつくる」仕事、顧客を「楽しませる」仕事が出来そうな会社から内定を頂き、就職相談を終えられました。

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