カウンセリングケース学生時代に力を入れて取り組んだこと(ガクチ力)に自信が持てない、悩みと不安

学生時代に力を入れて取り組んだこと(ガクチ力)に自信が持てない、悩みと不安


※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。


【I大学・経営学部所属】春から複数社の面接を受けましたが、最終的には「不採用」メールが届くだけで、内定はもらえていません。

面接で聞かれる「学生時代に力を入れて取り組んできたこと」いわゆる「ガクチ力」に悩んでいます。グループ面接の際、一緒に面接を受けた学生のエピソードを聞いていると、
「学生時代に留学経験がある」とか、
「部活でインカレに出場し、入賞した」、「部活で主将として部員を引っ張った」、
「指導教授と共に〇〇〇について研究を行ってきました」、
私からすると「輝かしいガクチ力」を持っています。私の「ガクチ力」といえば、アルバイト経験とサークルの一員として参加していたことくらいです…。面接に進めても、内定をもらえないのは、学生時代に力を入れてきたことが「薄い」からではないかと考えています。
とはいえ、過去には戻れないので、過去の経験を問われる質問の答えを、今から書き換えることはできません…。
どうしたらよいでしょうか。


【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。


「ガクチ力」を尋ねることで①事実と、②性格(気持ち)を推し量る。

ご相談内容は、面接の際に問われることの多い「学生時代に力を入れたこと」いわゆる「ガクチ力」についてでした。
採用担当者からのこの質問に対する答えを苦手とする学生は、とても多く見受けられます。

苦手とする理由は「他の学生は、自分よりも輝かしい経験を持っているから」、「他の学生は、自分よりも困難な経験、苦労した経験をしていて、自分よりも優れた人材と思われるから」といったことを挙げられる新卒者が多いです。一方、採用担当者は「ガクチ力」から新卒者の何を見極めようとしているのでしょうか。

個別企業によって採用ポリシーが異なるため絶対とは言えませんが、一般的には「ガクチ力」を聞くことで①事実と、②性格(気持ち)を測ると言われています。

「ガクチ力」における①事実の確認、測定ですが、
例えば、将来店舗運営のリーダーとなる人材を採用したい小売業では、求める人材像としては「多くの従業員をまとめ上げ、目標達成に向けて導ける人材」を掲げているところが多く、採用担当者としては、学生時代までに(中学校、高校時代も含む)メンバーをまとめ上げた経験があるかないか、あるならばどのような具体的な経験だったのか、という事実確認を行います。

また、海外との貿易を行う商社では、「英検」や「TOEIC」といった資格としての英語力だけではなく、学生時代までにどの程度日常生活の中で英語を用いてきたのか、という事実を把握しようとします。

②性格(気持ち)の確認、測定ですが、
多くの企業で、新卒者には仕事を地道に、継続的に遂行して欲しいため「粘り強さ」や、同僚・先輩・上司と上手く付き合い長期勤続して欲しいため「コミュニケーション力」といった、性格面を学生時代までの経験から推し測ろうとします。ご相談者からのコメントにもありましたが、過ぎ去ってしまった学生時代は遡ってやり直すこと、変えることはできません。

大事なことは、志望している会社が掲げている「求める人材像」と、自身の経験・経歴から合致する点を見出すことだと思われます。企業が掲げる「求める人材像」はあくまでも理想であり、理想に100%合致する新卒者を採用できることは稀です。
採用担当者としては「求める人材像」に近い新卒者を採用するために、選考を行っています。

新卒者としては、働きたいと思う会社の「求める人材像」と、なぜその会社がそのような「求める人材像」を掲げているかの背景を読み解くことが大切だと思われます。
「素直で、正直に人と向き合える方」を求める人材像として掲げている会社もあります。
このような求める人材像を掲げている会社においては、新卒者が他人と比べて自信を失うことも多い「輝かしい経歴」とは、異なる視点で新卒者を見極めようとしてることがご理解頂けると思います。

「素直で、正直に人と向き合った」ことは、ほとんどの新卒者が持ち合わせている経験でしょう。
自身の経験を、志望する会社の「求める人材像」に向けて、再構築することをご相談者と「対話」を通じて行った結果、間もなく内定を獲得されました。

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