カウンセリングケース「内定」を得られないまま8月を迎えました。就職活動を続ける気持ちが小さくなっていくのを感じます。

「内定」を得られないまま8月を迎えました。就職活動を続ける気持ちが小さくなっていくのを感じます。


※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。


【E大学・法学部所属・4年生】

新卒者の就職活動スケジュールに沿って、3月から会社説明会に参加し始め、企業から呼ばれた順に採用選考に臨んでいました。学生の「売り手市場」が続いている、との記事が多く見受けられておりましたので、「そのうち自分も内定を貰えるだろう」と思っていたところ、5月になっても、6月になっても、7月になっても「内定」が貰えませんでした。
同級生の中には内定を複数獲得している人もおり、取り残された気分で、正直焦りと不安で一杯です。
8月になると、「募集は終了しました」の表示が多くなり、ますます追い込まれていくような感覚です。
就職活動を続ける気持ちが小さくなっていくのを日増しに感じます。


【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。


企業の「求める人材像」、曖昧な表現の「ウラ」の意図を読み解く努力も必要に。

新卒者の就職・採用活動のスケジュールは、国公私立の大学等で構成している「就職問題懇談会」が申し合わせて、就職・採用活動の広報開始時期(会社説明会の開始時期)は3月1日以降、採用選考開始は6月1日以降、正式な内定は10月1日と、「申し合わせ」がなされており、一定のルールとされています。 

近年、社会的な要請もあり、大規模な合同企業説明会が3月1日以降に開催されるのは、この「申し合わせ」の効果と言えます。
一方で、採用選考開始時期については、各種調査によれば、公式に会社説明会が解禁される3月1日以降、6月1日を待たずに順次開始されてしまっていることが明らかにされています。
採用選考開始時期の「前倒し」によって、正式な「内定」は10月1日以降との「申し合わせ」は有名無実化し、多くの企業で「内々定」と称して、10月を待たずに採用を決めていることが常態化しています。 

当該新卒者も「申し合わせ」によれば、6月1日から選考開始のはずなので、7月に焦ることはないところではありますが、実態として、多くの同級生が7月には「内々定」を獲得しておりました。
「自分だけが…」という焦りと不安な気持ちが深まることは仕方がない状況でした。 

ここ数年、新卒者の「売り手市場」が続いているとはいえ、新卒者が「入りたい企業」と、企業が「求める人材像」が、全てマッチングするとは限りません。
企業が「求める人材像」は、企業のホームページ等で公開されてはいるものの、抽象的な表現も多く、新卒者全般にあてはまる表現も多く見られます。(企業の求める人材像が抽象的にならざるを得ない背景には、法規制が大きく影響しております)

抽象的な表現のために、本来はマッチングが難しい企業に、就職活動の多くの時間を取られてしまっている新卒就活生も多く見受けられます。

「自己分析」による「やりたいこと」探し、そして「やりたいこと」を行えそうな仕事や会社ばかりに限定したエントリーによって、長期間就職活動を継続しても、なかなか内定を獲得できないケースが見られます。
 
ご相談者に対しては、新卒者にとっては辛い作業になってしまいましたが、企業が公表している抽象的な「求める人材像」の表現を深読みして頂き、本当に「マッチング」しそうな会社なのかを考えて頂くことにしました。
自ら「やりたい仕事」を定め、志望動機を固め、採用選考に進むことは、否定されることではありませんが、一方で、不採用が続き、自信を失っている新卒就活生には、企業が「求めている人材」とは、どのようなな特徴があるのか、その人材像に自分は本当に合致するのかを客観的に、冷静に検討頂く時間が必要でした。
新卒者のこの会社で働きたいという気持ちと、企業のこのような人材に働いて欲しいという思いが、「マッチング」した際に、「内定」(採用)となることを少し意識して頂いた上で、就職活動を再開頂きました。

こちらの記事もよく読まれています