カウンセリングケース何十社と会社説明を聞いても、私はどうしても「働きたい」と思える会社が見つかりません。 どうしたらよいでしょうか…。

何十社と会社説明を聞いても、私はどうしても「働きたい」と思える会社が見つかりません。 どうしたらよいでしょうか…。


※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。


【F大学・商学部所属・4年生】

3月の会社説明会開始と同時に、合同企業説明会に参加したり、企業訪問をしたりと、「就職したい」と思える会社探しを行っていますが、何十社と会社説明を聞いても、「就職したい」「働きたい」と思える会社が正直見つかりません。
同級生は既に、会社説明会に参加した企業の選考に進んでいます。同級生は「その会社で働きたいと思っている」と言っています。
私はどうしても「働きたい」と思える会社が見つかりません。
どうしたらよいでしょうか…。


【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。


「やりたいこと」の明確化は本来とてもハードルが高い問題である。

「働きたい」と心から思える会社が見つからない、という悩みを抱える新卒者からの相談に対して、様々なアプローチが考えられる中でも本ご相談については、「行動」することをアドバイスしました。 

複雑化し続ける就職・採用活動において、新卒就活生への指導、アドバイスも多様化しています。「自己分析」、「志望動機」、業界研究、企業研究、エントリーシート作成、履歴書作成、筆記試験対策、面接対策などなど、インプットしなければならないこと、考えなければならないこと、考えをまとめ表現しなければならないこと…、短期間でやらなければならない事項が多岐に亘るようになっています。 

社会人の第一歩目となる初職は、それ以降40年程度続くキャリアにとって大きな意味をもたらします。企業を横断(転職)して、キャリア形成を行う場合でも初職はとても重要な「第一歩」となります。
このことを理解している新卒者ほど、企業選びに戸惑いを感じる傾向が見受けられます。
中には「やりたい仕事」が、会社説明会、会社訪問を何度重ねても見出せない、と不安に苛まれる新卒就活生もよくみられます。 

カウンセラーの視点から俯瞰してみても、実際は「やりたいこと」、「やりたい仕事」を明確化させることは、簡単な作業では決してありません
「やりたいこと」を明確化させるということは、「人生の方向性」を明確化させると言い換えられるほど、本来は非常に難しいことなのです。 

数十社の会社説明会、会社訪問を重ねても、「働きたい」と心から思える会社が見つからないご相談者へのアドバイスとしては、新卒者の就職活動時期は限られているため、まずは入社しても「嫌ではない」と思える会社への選考に参加することを推奨しました。

心から「働きたい」と思える会社ではなかったとしても、選考プロセスで出会う、面接を担当された社員たちの魅力を感じられたり、改めて面接用に企業のことを調べ直す過程で、最初は良いと思えなかった点が、他社と比較して魅力的であったことが気がつく、といったこともあります。 

ご相談者に対しては、「働きたい」と心から思える、ということは本来とても複雑で難しい問題であること、この難しい問題に限られた時間で取り組むためにはまずは「行動」を起こしてみる大切さを、対話を通じて理解頂きました。
当初は気が乗らなかった会社の選考プロセスに、勇気を出してチャレンジしてみることで、視野が広がり、徐々に会社選びのポイントも絞れるようになられました。

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