TAG
カウンセリング
オンライン就職相談の意義
1990年後半から2000年前半、新卒就活生にとっては、就職先となる企業等が求人数を極端に絞り込んでいた「就職氷河期」只中での就職活動であった。
「新卒就活生のためのオンライン就職相談」を立ち上げるきっかけとなった調査・報告が「大学生の就職・募集採用活動等実態調査結果Ⅱ」(独立行政法人労働政策研究・研修機構 2006)。 厳しい就職活動を経験しながら、カウンセラーの資格を有し、現役で社会人として活動している人材に限定し、オンラインで新卒就活生の就職相談を受け付ける必要性を裏付ける結果が、「就職活について悩んだ時に、誰に相談したか」の質問に対して、学生が最も相談していたのが「大学内の友だち」(72.5%)、次いで「親などの保護者」(60.2%)であった一方、新卒者の就職活動に関して蓄積された知見を有すると考えられる「大学の先生・職員・カウンセラー」へ相談した学生は38.1%と4割弱、「公的な就職支援機構」に至っては3.9%であった。
「誰にも相談しなかった」学生も4.8%でった。 この調査から言えることは、就職活動で悩みを抱えた時に新卒就活生の多くは、身近な友人に相談を行う一方で、「友人」に比較して就職活動についての知見を有している考えられる「大人」への相談を行う学生は過半数を超えていない。 さらに細かく見てみると、「正社員」に内定している学生に比較して、就職活動を「行っていない」「未内定」の学生ほど、「友人」、「親」、「大学の先生・職員・カウンセラー」に相談している割合が低く、「誰にも相談しなかった」割合が高くなっている。 全国どこにいても、どの大学に通っていても、就職活動で悩んだ時には、自身の経験と専門知識を有するカウンセラーが就職相談に対応し、学校から社会への移行の第一歩で躓くことのない社会を創造したいと考えます。
誰にも相談出来ずに孤立する学生がいなくなることを目指しています。 【引用・参考文献】
・「大学生の就職・募集採用活動等実態調査結果Ⅱ」独立行政法人労働政策研究・研修機構(2006年) ―新卒就活生のためのオンライン就職相談 メッセンジャー・チャットアプリ
キャリアコンサルタントの実際~活動の場所がない有資格者の存在
2021年3月末、キャリアコンサルタント登録者数は約6万人(「キャリアコンサルタントWEBサイト登録センター」より)。
有資格者の居住地を見てみると、東京14,236人(全体の23%)、神奈川6,467人(10%)、大阪5,010人(8%)と3都市に全体の4割のコンサルタントが居住していることが分かる。
ここにオンライン就職相談のプラットフォームを創り、キャリアコンサルティングを必要とする全国の新卒者に、大学所在地に関わらず、サービスを提供する理由の一つがあるといえる。 さらに、2017年に独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」では、兼業コンサルタントによるオンライン就職相談のプラットフォーム創りに繋がる多く示唆が見られる。 キャリアコンサルタントの活動の場について尋ねたところ、企業内での活動が最も多く34%、次いでハローワーク等の需給調整機関で20%となっている。有資格者の3人に1人が企業内で活動していることになる。
気になる数字としては、活動の場が「ない」と15%もの有資格者が回答している点。単純比較は難しいが、現在の有資格者6万人の内、仮に15%が活動の場が「ない」と仮定した場合、約9,000人が知識・技能を有しながらも、そのスキルを活かして切れていないことになる。
また、企業内に活動の場を求めている有資格者であっても、45%が「不定期」の活動であり、14%が企業内で「活動していない」。 さらに、キャリアコンサルタントとしての活動を行っていない(休止している)理由を見てみると、45%が「キャリアコンサルティングとは関係のない組織、部署等に所属している」が最も多く、企業内で活動する有資格者が多いことと一致している。「所属する組織(企業等が)キャリコンサルティングに熱心ではない」6.8%も同様の理由によるものと推察される。
次いで多い理由として、20%が「周囲にキャリアコンサルティングの仕事(ニーズ)がない」をあげる。 一方で、活動を行っていないが「キャリアコンサルティングに関する仕事をしたくない、興味がなくなった」有資格者は0.8%に過ぎなかった。
このことは、休止中の有資格者に活動を再開する意向を尋ねたところ「ぜひ開始(再開)したい」37%、「できれば開始(再開)したい」29%と7割近くが、キャリアコンサルティング活動を行いたいと回答している点からも現れている。 新卒就活生のためのオンライン就職相談は、社会にとって有益な知識・技能が「場の創出」の脆弱性により活かされていない現状を変えるため、活動を行っていく。 【引用・参考文献】
・「キャリアコンサルタント登録者数2021年3月末現在」キャリアコンサルタントWEBサイト登録センター(2021年)
・「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」労働政策研究・研究機構(2018年) ―新卒就活生のためのオンライン就職相談 メッセンジャー・チャットアプリ
就活生と同じ目線で語れる兼業カウンセラーの必要性
2000年の年間総実労働時間数1,859であったが、20年後の2019年は1,733時間と実に年間労働時間にして100時間超の削減がなされた。(厚生労働省 「毎月勤労統計調査」より)
所定外労働時間も漸次削減が進み、過去のように深夜まで会社に居続けるという働き方は、大幅に見直されている。 「働き方改革」の浸透の一方で、高いスキル、深い知識を有するフルタイム社員は、自らの能力を社会に還元すべく「二枚目の名刺=兼業」を持ち、非営利活動に積極的に関わる人々が増加している。 新卒就活生のためのオンライン就職相談―このプロジェクトも、不安で、孤独な就職活動を行う新卒者がカウンセリングを求めるニーズと、現役でフルタイムの職業に従事しながらも、カウンセラーの資格を有する人財がその能力を活かしたいニーズとをマッチングさせ、以って社会に貢献する理念から生まれた。 1990年代後半から2000年代前半にかけて卒業年次を迎え就職活動を行った世代を総称して、「就職氷河期世代」と呼ばれている。
この時代は、大学等卒業者数よりも、求人数の方が少ないという、学校から社会への移行の第一歩を踏み出そうとしていた学生にとっては、非常に厳しい就職活動を強いられた世代でもある。
「就職氷河期世代」も2021年、40代後半となり、新卒で就職した学生は今やキャリア20年超の中核社員、役員となっている。
非常に厳しい就職活動を経験し、カウンセリングの資格を取得した中核社員が、自身の苦しい就職活動の実態をもとに、さらにリアルタイムの採用現場に立つ現役社員が就職相談を行うことで、円滑な学校から社会への移行を成し遂げたいと考える。 【引用・参考文献】
・「毎月勤労統計調査 令和2年度分結果確報」厚生労働省(2020年) ―新卒就活生のためのオンライン就職相談 メッセンジャー・チャットアプリ