TAG
自己分析・「やりたいこと」探し・業界研究
大学から推薦された企業が、自分が望む企業「ではなかった」場合、選考に「進まない」という選択は正しいのでしょうか。
※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。 【O大学・経済学部所属・4年生】 高校生の頃から独学でギターを弾き始め、大学ではバンド活動をしていました。卒業後は「音楽」関連の仕事に就きたいと就職活動を行ってきましたが、音楽関連の会社から内定がもらえませんでした。気がつけば9月。志望する音楽関連だけではなく、さまざまな企業で「募集は締め切りました」の表示に変わっており、不安と焦りから先日初めて大学のキャリア支援センターを訪ねました。 大学のキャリア支援センターで推薦された企業は、自分が志望している音楽業界ではなく、小売業が多かったです。推薦された会社はどれも高校時代から熱中してきた音楽に関係する業種ではないので、正直就職活動を行う気持ちが湧いてきません。 大学から推薦された企業が、自分が「望む企業ではなかった」場合、選考に進まないという選択は正しいのでしょうか。 【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。 「やりたいこと」は「就職後」にもきっと叶えることができる。とにかく「経験」を積むために「就職」を。 自己分析により明確化した「望む業種・業界」、「やりたい仕事」から志望企業を絞り込み、選考活動に進む、というモデル的な就職活動プロセスを行ったところ、様々な要因が関連し合い、なかなか内定を獲得できない新卒就活生は少なくありません。 ご相談者は、望む業種・業界を音楽業界と定め、自立的に就職活動を進めておりましたが、9月になっても内定を得られなかったことから、ご相談者が通う大学のキャリア支援センターを訪問したところ、望んでいた音楽業界ではない業種の会社を推薦され戸惑っている、という状況でした。 新卒者の採用・就職活動は、一定のルールの下で行われているため、3月1日採用に関する広報の開始、6月1日採用選考のスタート、10月1日以降正式な内定とすることが「規範的」な動きとなります。多くの企業で10月1日の正式な内定、内定式を執り行うことを逆算して、選考スケジュールを組まれています。10月1日の内定式までに、4月入社予定の新卒者の選考を終える必要性から、9月に入りますと募集を締め切る企業が多くなる傾向があります。 ご相談者も志望する音楽関連の企業のみならず、多くの業種、多くの企業で採用活動を終え始めている状況から、自主的に進めてきた就職活動を見直すため、大学のキャリア支援センターに訪問しましたが、ご相談者が望む業界・業種の提案をもらうことが叶いませんでした。自身が進みたいと定めた業界・業種と、キャリア支援センターからの推薦された業種・業界とのギャップがジレンマを生んだケースと言えます。 望む働き方と、現実とのギャップを埋めることは、そう簡単ではありません。とくに、新卒者就活生の多くが取り組む「自己分析」によって、一度定めた望む働き方、進みたい業種・業界と、現実に推薦される会社とのギャップを埋めようとすることで、深い葛藤に苛まれることがあります。 本ケースでは、音楽業界を目指すことは諦められないので、9月以降も採用活動を継続している音楽業界の求人を探しつつ、一方で、一旦は志望する業界・業種ではないにしても、いずれ音楽業界へ転職をするために必要なスキル、経験等について研究し、必要なスキル、経験を得られそうな会社を選択する、という2つの活動ルートをご相談者と共有しました。「自己分析」と大学から推薦された会社とのギャップで葛藤を経験する新卒者は少なくありません。その葛藤を理解し、新卒者が前に進むための心の整理を一緒に行った事案となりました。
自分の「強み」と考えていた「コミュニケーション能力」は、企業からは「強み」とは見なされないものなのか…、と深く悩んでいます。
※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。 【K大学・社会学部所属・4年生】 多くの企業で「求める人材像」に含まれているワードに「コミュニケーション能力が高い方」とあります。私も小中高、大学と体育会に所属しており、多くの先輩、同期、後輩たちと「上手くやってきた」自信があります。その意味で、自己PRにも「子供の頃からずっと部活、体育会に所属し、多くの仲間たちと『上手くやってきました』。自分では『コミュニケーション能力の高い』と思っています」といつも記入したり、面接でもそのように答えています。 就職活動でも「求める人材像」に「コミュニケーション能力が高い方」と表明している企業に応募し続けていますが、これまで1社も「内定」を得られていません…。企業が「求める人材像」である「コミュニケーション能力が高い方」に合致していると自分では思っていたのですが、不採用が続くことで、自分の強みと考えていた「コミュニケーション能力」は、企業からは「強み」とは見なされないものなのか…、と深く悩んでしまっています。 【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。 「コミュニケーション能力が高い方」は長期勤続を前提として、従業員全員に求められる「普遍的な資質」。コミュニケーション能力『だけ』では採否は決定しない。 ご相談者の悩みは、企業が「求める人材像」に掲げている「コミュニケーション能力の高い方」に合致していると信じるに足りる経験と実績があるにも拘わらず、内定に至らず不採用となってしまい、自己の「強み」と考えていた「資質」に揺らぎが出てしまっている、というものでした。 確かに、多くの企業で「求める人材像」の中に「コミュニケーション能力が高い方」、もしくは、とても曖昧な表現でありますが「人間力の高い方」といったものを掲げています。この傾向の根底には、日本企業の雇用慣行の特徴の一つであります「長期勤続」「長期育成」の考え方が流れています。新卒者として採用し、採用と同時に教育をスタートさせ、会社内の様々な仕事を経験させるために、新卒者には長期間に亘り多くの上司、先輩、同僚、後輩と良好な人間関係を崩さずに勤務できることを選考基準としている会社が多いことに起因していると考えられています。 この求める人材像における「コミュニケーション能力」については、新卒者を困惑させるワナが隠されているとも言えます。企業としては、新卒者を一括採用し、長期的に育成、長期的に勤続してもらうことを想定した「重要項目」として「コミュニケーション能力」を掲げていることが、エントリーしている新卒者にとっては「必要十分条件」と錯誤させてしまっていることが指摘されています。 つまり「コミュニケーション能力の高い方」は日本企業の長期勤続、長期育成の雇用慣行においては、「重要項目」、言い換えれば「普遍的に求められる資質」とも言えます。企業が求める人材像の中には、「コミュニケーション能力」の他にも、論理性や明晰性、学習意欲や探求心など、各社のビジネスモデルの違いにより、様々な「資質」が求められます。 ご相談者には「コミュニケーション能力」以外の企業が「求める人材像」について、再度企業研究を行ってもらい、「コミュニケーション能力」以外についても自己PRに取り入れて頂くことで、就職活動を再開頂きました。
「自己分析」で「業種」「業界」について考えていますが「どの業種・業界に進みたい」といった結論が出せません。
※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。 【H大学・文学部所属・4年生】 「自己分析」において、自分が進みたい「業種」「業界」について考えていますが、「どの業種・業界に進みたい」という結論が出せません。合同企業説明会のシーズンも過ぎ、これから個別企業へのエントリー、選考へと進んでいく中で、第一段階の「業種選び」で躓いてしまっています。このままでは、志望する個別企業を絞り切れず、ただ時間だけが過ぎてしまうようで不安を覚えます。どうしたらよいでしょうか…。 【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。 「望む働き方」と「望む業種・業界」は密接な関係にある。 「自己分析」の中でも、望む業界・業種が絞り切れない、という悩み相談でした。望む業界・業種については、「絞り込むべき」という意見と、「絞り込む必要はない」という相反する意見や考え方があります。これは、望む業界・業種を「絞り込んだ」場合のメリットと、「絞り込まなかった」場合のメリットが、両方考えられることに起因します。 ご相談を頂いた新卒者の悩みは「絞り切れない」ことにありましたので、このケースでは、望む業界・業種を「絞り込んで」就職活動を進めるためのカウンセリングを行いました。就職先としての個別企業の選択の前に、広く望む業界・業種を選択した方が、限られた時間において大卒新卒者向け求人企業約67万社の中から、会社説明会に参加し、エントリーし、選考に臨む企業を効率的に選ぶことができる、というメリットが考えられます。 新卒者の就職先としての業界・業種の意味は「望む働き方」に密接に関係してきます。例えば、社会インフラ業界に属する電力、ガス、通信業界は、その業界に新規参入する企業は多くなく、数十年に亘り安定した市場に、安定的な企業数で市場が形成されています。安定した市場において、安定的な企業数(=プレイヤーで)構成されている業界・業種に属し、数十年の社歴を有する企業での「働き方」は長期勤続、一企業内での能力形成、一企業内での職務経験を積んでいくような「働き方」がイメージされます。 一方で、急成長している業界・業種、例えば、IT業界では、さまざまな「仕事」がデジタル技術の導入の対象先となることから、市場規模もますます広がり、新規参入企業も膨大な数になります。競争が厳しい一方で、市場規模も拡大していることから、企業が成長するダイナミズムを感じられる仕事が多いという側面があります。ベンチャー企業の参入も多いことから、比較的若い世代の従業員で構成されている会社も多く、人間関係もフランクな社風で働ける可能性も高いと言えます。IT技術の進化の速度は速く、一企業内でじっくりと能力形成や職務経歴を積むことの他、業界横断的に他社に転職を繰り返し、多くの企業での「仕事」を通じて新しい技術を習得してゆく働き方も、成長産業に属する企業で働くことの特徴の一つと言えます。IT業界だけではなく、太陽光発電や風力発電に代表される新エネルギー業界についても、成長産業であり、新規参入企業が比較的多い業界と言えます。 ご相談者には、成長産業である業界・業種に属する企業で、業界や企業が成長するダイナミズム溢れるステージで働くことを望むのか、安定的な産業である業界・業種に属する企業において、長期勤続・長期育成を提供されるような働き方を望むのか、という「望む働き方」という視点で業界・業種選びを行うことも一つの方法であることを理解頂きました。
どんなに「自己分析」を行っても「やりたい仕事」が見つかりません…。「やりたい仕事」はどうやれば見つかるのでしょうか…。
※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。 【C大学・生物学部所属・4年生】 どんなに「自己分析」を行っても、いつまでも「やりたい仕事」が見つかりません…。「やりたい仕事」はどうやれば見つかるのでしょうか…。大学で学んだことと、「やりたい仕事」がどうしても合致させることが出来ません。 【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。 「やりたいこと」探しは就活の一つの「課題」と割り切ることも大切に。 新卒就活生が就職活動において迷い、深く悩むことの一つに「やりたいこと探し」があげられます。採用企業としては、応募者がどの程度、企業について情報収集する能力があるか、収集した情報を分析する能力があるか、内定辞退に備えて応募者がどの位の「順位」で自社を志望しているのか、などを推し量るための一般的な質問項目となっています。 日本企業の代表的な雇用慣行の一つとして、長期勤続があげられます。長期勤続を前提とした人事制度として、ジョブローテーションがあり、新卒者として雇用された従業員は、2~10年程度の職務経験を経て、異なる職務を経験するため人事異動(=ジョブローテーション)させるといった「総合職」としてのキャリアを積んでいきます。新卒者をジョブローテーションを伴う「総合職」として採用し、企業を取り巻く環境変化、事業領域の再編にあわせて、従業員を異動させるため、必ずしも新卒者が就職活動の際に語った「やりたいこと」を入社後にさせてもらえない可能性があることも、また日本企業の特徴と言えます。 ではなぜ企業の採用担当者が新卒者に「やりたいこと」を問うのでしょうか。一つの理由としては、先に述べた通り、応募者の情報収集能力、情報分析能力、論理力に加えて、自社への志望順位を推し量るため、があげられます。また一方で、根底にある理由としては、長期勤続、結果としての「終身雇用」に至ることが多い日本企業おいては、長期的なキャリア形成に対して、主体的に考え、自律的に行動できる人材であるかを見極めるための質問としても用いられています。 「やりたいこと探し」に深く陥ってしまった新卒者に対しては、まずは「やりたいこと」をなぜ企業は質問するのかを理解頂きます。新卒就活生に「やりたいこと」を問うのは、主に、①情報収集・分析能力と志望順位を推し量るため、②長期的なキャリア形成を主体的に行う意思があるかを推し量るため、と考えられます。 ①情報収集・分析能力と志望動機を推し量るため、については、本当に「やりたいこと」がどうかはさておき、とにかく採用プロセスに臨む企業の情報を集めることが求められます。情報を集めた上で「やりたいこと」ストーリーを考えることが必要となります。ここで大事なことはストーリー=物語を創ることになります。「やりたいこと探し」に陥ってしまった新卒者への対処法としては、「本心」もしくは「心からの」といったことを「一旦置いておく」ことが一歩踏み出すコツと思います。 企業は新卒者という「労働力」を買う、ということが基本的な考え方となります。できれば「心から」の「本心」からの「やりたいこと」が見つかることが理想ですが、日本企業の多くは未だジョブローテーションを伴う「総合職」であることを踏まえますと、「一旦置いておき」ストーリーを創る、という「課題」であると割り切って、前に踏む出す気持ちを作ることが大切だと思われます。
「自己分析」を続ければ、続けるほど、自分の「強み」が分からなくなっています。私の「強み」とは何でしょうか…。
※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。 【B大学・文学系学部所属・4年生】 「自己分析」を続ければ、続けるほど、自分の「強み」が分からなくなっています…。他の就活生はしっかりとした「強み」を持っているようですが…、私の「強み」とは何でしょうか…。 【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。 新卒者が表現する「強み」には「能力的」な「強み」と、「人間的」な「強み」がある。 「自己分析」における「強み」「弱み」の分析については、多くの新卒就活生を悩ませるツールとなっています。「自己分析」自体が、広く新卒者全般に適用される分析ツールにはなり得ないと主張されている方もおります。 「あなたの強みは何でしょうか?」という質問は、とくに面接において尋ねられる場面が多いため、新卒就活生はそのための準備が求められるようになっています。本来、新卒者向けの採用面接においては、「労働力」として必要なスキル、知識を問うことが前提ではありますが、日本の労働慣行の一つに長期勤続、結果としての「終身雇用」が根強いため、「メンバー」の一員として他の従業員と長期的に良好な人間関係を維持できるか、といった人間的側面も重要な選考基準となっています。 新卒就活生が面接で答える「強み」の中には、大学で学んだ知識、スキル以外にも、コミュニケーション能力、対人関係、ストレス耐性、積極性なども、「強み」の一つと考えられています。仕事を成し遂げるための知識、スキルの習熟度のみを問われるのであれば、さほど新卒就活生を悩ませることはないと思いますが、知識、スキル以外の「人間的」側面についても「強み」に含まれることによって、他のエントリーしている新卒就活生よりも「人間的」側面も含めた「強さ」の表現に抵抗感を覚える就活生も少なくありません。 カウンセリングの方向性としては、先ずは就職活動・採用活動の原則は、仕事を成し遂げる知識、スキルが備わっているかを判断するプロセスである、ことを明らかにした上で、「人間的」側面は一旦外して考えることを提案しました。新卒就活生がこれまで努力で培ってきた知識、スキルのみにフォーカスすることで、問われている課題を単純化させました。知識、スキルの明確化の後、知識、スキルを養う過程で得られた「人間的」側面の「強さ」を表現する、という手順を踏むことにより、不安や困惑の軽減に努めました。
学生時代に力を入れて取り組んだこと(ガクチ力)に自信が持てない、悩みと不安
※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。 【I大学・経営学部所属】春から複数社の面接を受けましたが、最終的には「不採用」メールが届くだけで、内定はもらえていません。面接で聞かれる「学生時代に力を入れて取り組んできたこと」いわゆる「ガクチ力」に悩んでいます。グループ面接の際、一緒に面接を受けた学生のエピソードを聞いていると、「学生時代に留学経験がある」とか、「部活でインカレに出場し、入賞した」、「部活で主将として部員を引っ張った」、「指導教授と共に〇〇〇について研究を行ってきました」、私からすると「輝かしいガクチ力」を持っています。私の「ガクチ力」といえば、アルバイト経験とサークルの一員として参加していたことくらいです…。面接に進めても、内定をもらえないのは、学生時代に力を入れてきたことが「薄い」からではないかと考えています。とはいえ、過去には戻れないので、過去の経験を問われる質問の答えを、今から書き換えることはできません…。どうしたらよいでしょうか。 【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。 「ガクチ力」を尋ねることで①事実と、②性格(気持ち)を推し量る。 ご相談内容は、面接の際に問われることの多い「学生時代に力を入れたこと」いわゆる「ガクチ力」についてでした。採用担当者からのこの質問に対する答えを苦手とする学生は、とても多く見受けられます。苦手とする理由は「他の学生は、自分よりも輝かしい経験を持っているから」、「他の学生は、自分よりも困難な経験、苦労した経験をしていて、自分よりも優れた人材と思われるから」といったことを挙げられる新卒者が多いです。一方、採用担当者は「ガクチ力」から新卒者の何を見極めようとしているのでしょうか。個別企業によって採用ポリシーが異なるため絶対とは言えませんが、一般的には「ガクチ力」を聞くことで①事実と、②性格(気持ち)を測ると言われています。「ガクチ力」における①事実の確認、測定ですが、例えば、将来店舗運営のリーダーとなる人材を採用したい小売業では、求める人材像としては「多くの従業員をまとめ上げ、目標達成に向けて導ける人材」を掲げているところが多く、採用担当者としては、学生時代までに(中学校、高校時代も含む)メンバーをまとめ上げた経験があるかないか、あるならばどのような具体的な経験だったのか、という事実確認を行います。また、海外との貿易を行う商社では、「英検」や「TOEIC」といった資格としての英語力だけではなく、学生時代までにどの程度日常生活の中で英語を用いてきたのか、という事実を把握しようとします。②性格(気持ち)の確認、測定ですが、多くの企業で、新卒者には仕事を地道に、継続的に遂行して欲しいため「粘り強さ」や、同僚・先輩・上司と上手く付き合い長期勤続して欲しいため「コミュニケーション力」といった、性格面を学生時代までの経験から推し測ろうとします。ご相談者からのコメントにもありましたが、過ぎ去ってしまった学生時代は遡ってやり直すこと、変えることはできません。大事なことは、志望している会社が掲げている「求める人材像」と、自身の経験・経歴から合致する点を見出すことだと思われます。企業が掲げる「求める人材像」はあくまでも理想であり、理想に100%合致する新卒者を採用できることは稀です。採用担当者としては「求める人材像」に近い新卒者を採用するために、選考を行っています。新卒者としては、働きたいと思う会社の「求める人材像」と、なぜその会社がそのような「求める人材像」を掲げているかの背景を読み解くことが大切だと思われます。「素直で、正直に人と向き合える方」を求める人材像として掲げている会社もあります。このような求める人材像を掲げている会社においては、新卒者が他人と比べて自信を失うことも多い「輝かしい経歴」とは、異なる視点で新卒者を見極めようとしてることがご理解頂けると思います。「素直で、正直に人と向き合った」ことは、ほとんどの新卒者が持ち合わせている経験でしょう。自身の経験を、志望する会社の「求める人材像」に向けて、再構築することをご相談者と「対話」を通じて行った結果、間もなく内定を獲得されました。
志望する企業の「処遇」には魅力を感じますが「やりたいこと」は見出せません。「やりたいこと」が明確にできないことで不安を感じています。
※以下のエピソードは新卒就活生が陥った悩みとカウンセラーによるカウンセリングケースです。エピソードは個人が特定されないように加工を加えております。カウンセリングケースはカウンセラーの個人的な見解によるものです。 【M大学・社会学系学部所属・4年生】3月1日から合同企業説明会に参加し、そろそろ個別企業にエントリーしようと思っています。企業によってはエントリーシートの中に、「志望動機」を問う質問が含まれている場合があります。正直、これから選考を受けようとする企業を志望する理由は「50年以上の社歴があり安定している会社だから」、「大手企業で労働条件や労務管理がしっかりしていそうだから」、「給与が高そうだから」といったものしか思いつきません。志望動機には、入社した際に「やりたいこと(やりたい仕事)」や「夢や憧れ」、「望むキャリア形成」といった、「心の部分」も必要なのでしょうか。私には就職先での「やりたいこと」、「やりたい仕事」、「夢や憧れ」をイメージすることができません。 【カウンセラー 工藤未来】ThirdPlaceキャリアマネジメント代表。大学院修了後、労働問題を主な研究領域とする団体・研究機関に入所する。 入所後、若年者の就職問題・キャリア形成の問題をテーマとする活動・研究を行う。 活動・研究活動を行う中で、多くの働く人からの「何のために働くのか」の問いや悩みをきっかけとして、「答え」を示すのではなく、働く人ひとり一人が「考える」ためのヒントを提供することを始める。 なぜ採用プロセスで「やりたいこと」と問うのかの「理由」を考える。 このご相談は、エントリーシートで求められる「志望動機」について、「会社が安定している」「大手企業だから」「給与が高そうだから」という理由以外に、「やりたいこと・やりたい仕事」や「夢や希望」などの「心の部分」についても記載する必要があるのか、といったものでした。ご相談者が不安に感じております、エントリーシートの志望動機には、「やりたいこと」「やりたい仕事」や「夢や希望」などの「心の部分」についても記載する必要があるのか、については、企業側がなぜ「志望動機」を問うのかを検討材料に入れ、さらに新卒者がエントリーシートを提出した志望する企業から「内定を得る」ことを目的とするならば、「記載した方が良い」という回答になります。アドバイスとしては、エントリーシートは「受からなければ」、その時点で志望する会社から内定をもらう道が閉ざされてしまうので、企業がなぜエントリーシートで志望動機を問うのかを念頭に置き、優先すべきは内定を得ることを確認した上で、再度志望動機を執筆頂きました。大学3年生~4年生の時点で、「やりたいこと」「やりたい仕事」「夢や希望」「望むキャリア形成」を本心で言えなかったとしても、志望する企業から内定を得て、4月に入社した会社において仕事をしながら、ゆっくりと時間を掛けて、「本心にしていく」やり方もある、と思います。企業側も採用するための「技術」を磨いています。新卒者も就職するための「技術」を磨く必要があるのかもしれません。