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自己肯定感

愛し、愛されることで「自信」が生まれる。

先のコラムで「自己肯定感」の高い人は、子供の頃に「遊びの熱中度が高く、外遊び(集団での外遊び、自然の中での遊び等)が多かった人」、また「親や先生、近所の人に褒められた、もしくは叱られた経験が多かった人」といった傾向が調査によって明らかにされたことを記した。 国立青少年教育振興機構「子供の頃の体験がはぐくむ力とその効果に関する調査研究報告書」では、「自己肯定感」(あるがままの自分を認め、あるがままの自分に自信を持つこと)の醸成と、家族との愛情・絆(質)・家庭での体験(多寡)との関係についても考察している。 調査対象となった20代~60代の男女=「大人」の中で、社会を生き抜く資質・能力(「へこたれない力」「意欲」「コミュニケーション力」「自己肯定感」)が高かったのは、子供の頃に「家族との愛情・絆が強かった人」であった。 新卒者の就職活動において、最も重要な資質は「自己肯定感」であると考える。 「自己分析」過程において、自己のこれまでの人生を振り返ることで、努力し切れなかった自分や、勝ち切れなかった自分など、自己を肯定することが出来なくなるケースも多い。自己を肯定できなくなることで、自分の「強み」に自信が持てなかったり、自分の進みたい道(志望動機)に迷いが生じたりと、複数の試験が用意されている選考過程中に、立ち止まってしまうことも散見される。 あるがままの自分を肯定し切れていない状況で、不採用通知が届くことにより、ますます自己に対する自信を失ってしまう新卒者は多い。 エントリーした企業からたとえ不採用通知が届いたとしても、自己の魅力は変わることがない、と思える程の自己肯定感が新卒就活生には大切となる。 子供の頃家族との愛情・絆が強く且つ家庭での体験が多かった人が、大人になって自己肯定感が高かったのは45.7%。 一方で、子供の頃家族との愛情・絆が弱く且つ家庭での体験が少なかった人が、大人になって自己肯定感が高い割合は18.1%であった。 さらに、社会を生き抜く資質・能力の一つにあげられている「へこたれない力」についても、子供の頃家族との愛情・絆が強く且つ家庭での体験が多かった人でへこたれない力が高かったのは33.7%、一方、子供の頃家族との愛情・絆が弱く且つ家庭での体験が少なかった人でへこたれない力が高かったのは10.6%であった。 社会を生き抜く資質・能力にあげられている「意欲」(愛情・絆が強く且つ体験が多い人で意欲高い47.3%、愛情・絆が弱く且つ体験が少ない人で意欲高い20.9%)、「コミュニケーション力」(愛情・絆が強く且つ体験が多い人でコミュニケーション力高い47.6%、愛情・絆が弱く且つ体験が少ない人でコミュニケーション力高い19.6%)についても、子供の頃家族との愛情・絆が強く且つ体験が多い人が、弱く少ないに比べて有意に高くなっている。 社会を生き抜く資質・能力の多くは、愛情と体験が生み出していると言えるだろう。 過ぎ去った過去は変えならないが、「これから」は変えられるのではないだろうか。 親が子供にかける愛情は取り戻せなくとも、大人になって、これから出会う人々から愛情をもらうことは出来るだろう。 但し、大人になってから周りから与えてもらう愛情は、親が子供に与える愛情とは多少異なり、自ら周りの人々を愛するからこそ、周りの人々からも愛情を与えてもらえるものではないだろうか。 自ら周りの人々を愛することで、周りの人々から自分も愛され、それらの愛情によって「自己肯定感」は高められるといえよう。 自分を愛するために、周りの人々を愛する。 子供の頃は変えられなくとも、「これから」は変えられる。 【引用・参考文献】 ・「子供の頃の体験がはぐくむ力とその成果に関する調査研究報告書」国立青少年教育振興機構(2018) ―新卒就活生のためのオンライン就職相談 チャット不安悩み相談

大人になって「自己肯定感」が高い人、子供の頃の体験を見てみると。

2020年初頭からこれまで“普通”に行われていたことに制限が掛けられ、人との関わり合いをも留まらなければならない期間が1年10カ月程経過しようとしている。 大学生でいえば、2020年4月入学者は現時点で2年生の後半に差し掛かり、現4年生は2年生の1月から制限が加えられた「コロナ禍」での学生生活を余儀なくされている。 学校から社会へ移行に際して、大学時代の学業は当然として、大学外での活動、部活動・サークル活動、アルバイトなどを通じて得られる経験は重要である。大学での学業と大学外の活動で出会う人々の関わり合いの中で、自分とは何か、自分が進むべき道はどれか、自分が果たしたい夢はどれか、など今後の生き方を明確化させる大切な時期ともいえる。 このような大切な時期に、人との関わり合いを制限されたことで、就職活動時に避けがたい「大学時代に力を入れたこと」=ガクチ力に迷いを生じさせている。 コロナ禍が与えた若者への影響については、今後調査が行われ、“普通”だったことが出来なくなった影響が明らかにされていくだろう。 ここでは大学生活より以前の子供の頃の経験が大人になってどのように影響するかの調査を見てみたい。 2018年、国立青少年教育振興機構は「子供の頃の体験がはぐくむ力とその効果に関する調査研究報告書」を発表した。この調査は、日本の青少年の自己肯定感が諸外国に比べ低いと指摘されていることを踏まえ、体験活動と自己肯定感、今の青少年に求められるへこたれない力や意欲、コミュニケーション力との 関係を検討し、これを高める体験活動の在り方を提案することを目的としている。(自己肯定感の低さについては「令和元年版子供・若者白書 特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」内閣府(2019年)に詳しい。) 調査では、20代~50代を対象に、年齢期別の「子供の頃の体験」と現在の「社会を生き抜く資質・能力」との関係性を分析した。 調査結果の中から、新卒者の就職活動の成否を大きく左右されると考えている「自己肯定感」の獲得と子供の頃の体験を見てみる。 大人になって「自己肯定感」が高い人の子供の頃の体験として、 ・遊びの熱中度が高く、外遊び(集団での外遊び、自然の中での遊び等)が多かった人。 ・親や先生、近所の人に褒められた、もしくは叱られた経験が多かった人。 大きく2つに収斂される。 このことにより、大人になって「自己肯定感」が高い人の特徴は、子供の頃、親や先生、友だち、近所の人との関わりが多かった人、と言えよう。 この調査はあくまでも子供の頃の体験と大人になっての「自己肯定感」の関係を明らかにしたもの。 この調査の方法、結果がそのまま大学生に当てはまるとは言い切れないものの、人との関わりを制限された大学生が大学時代に本来獲得できた「自己肯定感」の獲得に全く影響がなかったとは思えない。 これから社会出てくる「コロナ禍世代」の新卒者は、これまで“普通”であった多種多様な人々との関わり合いを制限された大学生活を余儀なくされた世代と言える。 様々な人々との関わり合いは、自己肯定感の醸成に不可欠な経験であることを踏まえると、就職・採用の現場における「ガクチ力」を問うことは、より慎重にすべきではないだろうか。 【引用・参考文献】 ・「子供の頃の体験がはぐくむ力とその成果に関する調査研究報告書」国立青少年教育振興機構(2018) ・「令和元年版子供・若者白書 特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」内閣府(2019年) ―新卒就活生のためのオンライン就職相談 チャット不安悩み相談

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